2016年09月25日

チェ叶立秋美イチェイサー』

とんでもない韓国映画を見た. 久しぶりにそう思える傑作でした. 実在の事件をベースにしたとはいえ、あの『殺人の追憶』を凌ぐ緊迫感に終始圧倒されるこの面白さは必見. レオナルド・ディカプリオがリメイク権を獲得しているそうですが、正直韓国映画好きとしてはリメイク版にこの面白さは期待できないと断言できるくらい、本当に凄い映画でしたよ. 坂道の多い街で起こる猟奇殺人事件の犯人を探す話ではなく、始めから犯人はヨンミンだと明かすこの映画. まずいきなりそのヨンミンのカナヅチとノミを使った犯行を見せられるのですが、これがケータイの電波も届かない密閉された風呂場で行われているので、湿気と血と汗が妙に絡まった、人間のダークサイドを垣間見れる嫌な雰囲気なんですよね. OPからこのシーンは結構キツかったです. しかしその一方でデリヘルを経営している元刑事のジョンホが刑事だった勘を活かして坂道の街で犯人を追いかけるくだりは音楽の起用法の巧さもあってか、緊張感があって面白いこと. でもこの映画の本当の面白さはこの坂道での追いかけあいではなく、実はヨンミンが警察に捕まってからだと思うんですよね. というのもこの映画のタイトル「チェイサー」というのはヨンミンがミジンを売り飛ばしていると思い込んでひたすら彼女の行方を追いかけるジョンホだけでなく、ヨンミンの犯行を立証するための証拠を追いかける警察、出世や名声ばかりを追いかける警察上層部や市長、そしてこの映画の展開を追いかける観客のことでもあると思うのです. 追いかけるものが違うともちろん進む方向も違うものです. そしてそれは時に他のチェイサーの進路と交わり、その進路を妨害する結果を生むこともあるんですよね. この映画でもジョンホは警察という組織に妨害され、警察は時間と上司たちに捜査を妨害され、その結果ヨンミンは釈放され、ミジンの娘は母親を失い、観客はさらに雑貨屋での恐怖を味わってしまうというもどかしさ. そしてこんなもどかしい哀しみを全て洗い流して無かったことにできたらとジョンホたちが願うシーンを全て雨のシーンにしているのもこの映画の素晴らしいところ. 特に車の中でミジンの娘が泣き叫び、ジョンホが電話で怒声をあげるシーンを雨音で消すシーンも本当に見事でした. ですからラストでジョンホが犯人と格闘するくだりもミジンへの贖罪行為であったはず. なのに事前に教会で十字架を見てしまったがために完全にダークサイドに陥れず、結果としてヨンミンを殺すことを躊躇い、またしてもミジンに申し訳ないことをしたと放心状態になるシーンも、警察が信じたくない証拠を掘り出すシーンも全て雨で流せたらという、韓国映画特有の【恨の感情】を感じさせてくれるんですよね. あと一歩のところまで追いかけてこれたのに、その一歩が凄く遠い. この『殺人の追憶』以上のもどかしさ、韓国映画好きの方は必見です! ちなみに日本のデリヘル事情は韓国よりもかなり安全だと思いました. 深夜らじお@の映画館 は○リ○ル嬢のお世話になった経験がございます.

夏休み映画の真打たちは全て7月に出揃ってしまっているため、世間的に話題作の少ない8月. ただ映画ファンとしてはこういう時期に公開されるミニシアター作品を見逃すと、大きな後悔をしてしまうので要注意でもあるんですよね. てな訳で高校野球の結果を気にしながら楽しむ8月の注目作品をピックアップです. 『シャンハイ』 ジョン・キューザック、チョウ・ユンファ、コン・リー、菊池凛子、渡辺謙で真珠湾攻撃前夜の上海を描く. 映画ファン的にも歴史ファン的にも凄く楽しみです! 『ツリー・オブ・ライフ』 本年度カンヌ国際映画祭パルムドール作品にて、テレンス・マリック監督最新作. この寡作な監督の新作はどんな内容になっているのか楽しみです. 『未来を生きる君たちへ』 本年度アカデミー外国語映画賞受賞作品. 絶対に見ます. 『神様のカルテ』 櫻井翔・宮崎あおい共演よりもこのテーマをあの深川栄作監督がメガホンを取っていることに興味津々. 泣ける映画になっているのか、泣かす映画になっているのか. 深川監督の手腕が試されるのかも? 『日輪の遺産』 こういう戦時中の物語って大好きです. 近代史でありながら、多くの謎も残る昭和20年前後. 堺雅人主演というのも楽しみなところ. 『カンフーパンダ2』 神戸近辺で字幕版は公開されるかな? 『ヒマラヤ 運命の山』 シネ・リーブル神戸では 『127時間』 とのタイアップキャンペーンをしているだけに、さてどんな内容なのか. 興味ありです. あと新藤兼人監督最新作『一枚のハガキ』、いつの間にか関係のない映画でシリーズ化しちゃっている『赤い珊瑚礁オープンウォーター』、深夜アニメでも放送やってますね『うさぎドロップ』、一部では怖いという噂の『七つまでは神のうち』は時間があれば. 全く興味なしはもちろんTVドラマの驚異的な低視聴率ぶりで一時期製作が危ぶまれた『こちら葛飾区亀有公園前派出所THE MOVIE 勝鬨橋を封鎖せよ! 』ですね. てな訳で特にヒマなお盆をどう過ごそうか今から悩んでしまう8月の映画戦線でした. 深夜らじお@の映画館 は今年の夏は12年ぶりに甲子園に高校野球を見に行こうかと思います. ※お知らせとお願い ■ 【元町映画館】 に行こう. 先日起きたアメリカ史上最悪の銃乱射事件の犯人チョ・スンヒ容疑者が犯行前にNBCテレビに対して送った写真の中に、韓国映画 『オールド・ボーイ』 によく似た、金槌を振り上げる姿があったそうです. そして今全米メディアはこの映画と事件との対比論評で熱くなっているとか. 単に金槌を振り上げて威嚇を表しているだけの写真だと思うのですが、いつの時代もハードボイルド映画と凶悪犯罪を結び付けたがる暇人がいるものだなぁ~と思います. 確かにこれまでにも映画が凶悪犯罪に関与した例はいくつかありました. 例えばレーガン元大統領暗殺未遂事件を起こしたジョン・ヒンクリー容疑者はマーティン・スコセッシ監督の大傑作『タクシードラバー』に影響を受けていましたし、 『ボウリング・フォー・コロンバイン』 で一段と知られるようになったコロンバイン高校銃乱射事件の犯人たちのフレンチコート姿は『バスケットボール・ダイアリーズ』に影響を受けたのではないかと噂されていました. しかし今や映画のみならずゲームでもアニメでもハードボイルドな作品はたくさんあります. にもかかわらず一概に映画と凶悪犯罪を結びつけるこの安易な発想はどうにかならないものでしょうか? そしてこういう安易で貧困な発想を放っておくと、アホなPTAどもがハードボイルド映画上映反対などとぬかしやがるですよね. あれが一番イヤ!! パク・チャヌク監督の復讐三部作や『タクシードライバー』は確かにハードボイルドな描写は多くあるものの、その先にあるメッセージは強烈ですごく心の奥にまで響くものばかりです. あれがこの手の映画の醍醐味であって、暴力シーンは実は二の次なんですよね. そんなことすら分からない貧困な感性を持つ連中がのさばることで、ハードボイルド映画が少なくなることだけは是非避けてほしいです. 仮に映画が一般生活において多大なる影響を与えているというなら、ヒーローもの映画が昨今増えているのにも関わらず、先日の電車内での女性が襲われているのに40人以上の乗客が通報さえしなかった一件はどないやねん!?と思いますよ. 映画っていうのは表面だけの薄っぺらいものとは違う、奥の深いものであるということをもっと多くの人に知ってもらいたいですね. そうすればこんな浅はかな論評など起こらないのに・・・. 深夜らじお@の映画館 は映画の真髄を見抜ける目を養っています.
posted by AsaokaHazuki at 16:28| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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